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バロンズ誌:マイナス金利、市場混乱の引き金に?

Barron’s : Did Negative Rates Trigger Market Turbulence? バロンズ誌、今週のカバーに米大統領予備選を掲げる。共和党のトランプ候補と民主党のサンダース候補が台頭するに合わせ、米株は反比例して下落をたどってきた。理由は両候補の選挙公約にあり、トランプ候補は中国をはじめ貿易国に関税引き上げという制裁を加えると豪語してはばからない。エコノミストの多くは、こうした保護主義が世界恐慌の元凶になると予想する。同候補が主張する不法移民強制送還も、非現実的で市民権の衝突を招きかねない。サンダース候補はというと、民主社会主義者と自称するだけにインフラ整備、公立大学の無償化、オバマケアとは異なる国民皆保険の設立を目指すが、平常時の財政赤字としては近代アメリカの歴史で稀に見る水準へ膨れ上がること必至だ。S&P500は、両候補の人気とともに勢いを失いつつある。——といった内容の詳細は、本誌をご覧下さい。 当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートは、日本でも話題のマイナス金利を掲げる。抄訳は、以下の通り。 プロであれ個人投資家であれ、投資家であれば一部の例外を除きスーパーボウルでデンバー・ブロンコスに敗北したカロライナ・パンサーズのクォーター・バック、キャム・ニュートン選手のような気持ちだろう。年初から、特に過去2週間にかけ暴落(battering、殴打の意味を含む)に喘いできた。政治動向も、マーケットに影を投げかける。今週のバロンズ誌のカバーで取り上げた問題に加え、ブルームバーグ前NY市長の参戦が取り沙汰され始めた(奇しくも3人はNY出身でトランプ候補、ブルームバーグ氏はともにマンハッタンの富豪、サンダース候補はブルックリン生まれ)。仮に3者が米大統領選挙の本選に残り勝利に必要な選挙人270人以上を確保できない場合、アメリカ合衆国憲法修正12条に基づけば米下院が米大統領を、米上院が副大統領を選出するという異例の事態に陥る見通しだ。 もうひとつ、マーケットを震撼させているのは米連邦準備制度理事会(FRB)の次の一手だろう。利上げではなく、日銀や欧州中央銀行(ECB)などが実施しているようにマイナス金利へ向かう可能性が仄かに浮かび上がって来た。イエレンFRB議長は10〜11日の議会証言で見込みは余りに低い(the longest of long shots)との考えを示唆し、2010年に検討し当時は選択しなかったと回答したが、世界の金融市場の動揺を抑え切れていない。 NIRP、すなわちマイナス金利政策はデフレ経済と金融市場の下落を抑制する上で強度の高い気付け薬とされてきた。ECB、スイス、スウェーデン、デンマークで展開されてから、少量ながら大陸に刺激を与えていたように見える。 しかし日銀がマイナス金利を導入してから、思い通りの効果が得られなくなっている。黒田総裁は11日、意図した通り効いていると発言すると本邦10年債利回りはマイナスへ陥った。為替市場もしっぺ返しに遭い、円高が加速し日本株も急落した。 ドル円、一時111円割れまで円高が加速。 (出所:Stockcharts) 金融市場の混乱をめぐり、全ての責任を日銀に押し付けることはできない。足元の雪崩を打ったような下落は、欧州の銀行が震源地となっている。信用損失懸念が高まる一方で、マイナス金利は純金利マージンを圧縮してきたためだ。ルネッサンス・マクロ・リサーチのジェフ・デグラーフ主席ストラテジストは、社債こそS&P500より値崩れしていると説く。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の急伸こそ、昨夏あるいは足元の株安の先駆けだ。 信用不安は、もちろん原油安をはじめとした商品市況の下落と結び付く。前週はドイツ銀行に飛び火し、ジョン・クライアン共同最高経営責任者(CEO)は声明にて資本は「盤石(rock solid)」で債務支払いが可能とする発表を余儀なくされた。こうした声明は同行の株価が簿価の3分の1まで売り叩かれ、CoCo債(偶発転換社債:自己資本規制強化の流れで欧州の銀行を中心に発行、発行体の金融機関の自己資本比率が取り決められた水準を下回った場合、元本の一部あるいは全てが削減されるか、株式に転換される)が急落した後になされている。格付け会社S&Pは、ドイツ銀行のTier1証券(CoCo債のように株式に近いもの)の格付けを「B+」から「BB−」ヘ引き下げた。それもこれも、NIRPが純金利マージンを低下させるという認識を呼び起こす。 純金利マージンの圧縮以外、もうひとつのNIRPの盲点は為替だ。NIRPは為替安を促すとされてきたが、日銀やECBなどの政策に反し円やユーロは上昇している。答えは簡単で、マイナス金利を導入するほどマーケットが混迷を極めるなかで、安全資産へ投資が集中することは明白だ。さらに、キャリー・トレードの巻き戻しも円高・ユーロ高を引き起こしていることだろう。 ダウやS&P500は12日の金曜日、約2%上昇して取引を終え、ナスダックは1.7%高で引けた。週足ではそれぞれ1.4%、0.8%、0.6%まで下げ幅を縮小させている。11日から切り返しをみせており、石油輸出国機構(OPEC)による協調減産への見通しが報じられ原油先物が反発し買い戻しを促していた。 しかしながら古くからトレーダーの格言にある通り、金曜日の反発は底打ちだった試しがない。週をまたぐ前に、ショート・ポジションを巻き戻す傾向が高い。プレジデンツ・デーの3連休前で、中国市場が春節の休場を経てオープンするとなれば、尚更だ。 バロンズ誌のもうひとつの名物コラム、ストリートワイズは米国の景気後退リスク減退を挙げる。抄訳は、以下の通り。 株式市場の弱気相場入りやクレジット・スプレッドなど、足元で景気後退のサインがあちこちで点灯している。しかし、経済のファンダメンタルズを示す指標は巻き返しの予兆を現し始めた。特に、失業率がそれにあたる。 失業率は10月から12月の3ヵ月にわたって5%で推移した後、1月に4.9%へ改善した。景気後退入り前だと、こうはいかない。統計が開始した1948年以降、失業率はリセッションが開始する以前の12ヵ月間において、3ヵ月比で上昇してきた。第2次世界大戦後に景気後退入りした過去11回のうち、少なくとも12ヵ月間に必ず1回は過去3ヵ月と比べ上昇し、大抵は複数に及ぶ。例えば金融危機が直撃し2007年12月に景気後退入りした当時失業率は5.0%へ上向いたが、同年1月の失業率は4.6%に過ぎなかった。本当に米経済がリセッションに陥るなら、2月の失業率は5.1%へ上昇しなければならない。 ——アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートは、Fedがマイナス金利を導入するかは別として、純金利マージンの悪化による収益圧迫が信用不安に火を点けたと主張します。欧州の動向がまさにその典型ですが、以前に指摘させて頂いたように欧州の銀行が二束三文で資産を売却せざるを得ない一方、買い手として考えられる米国の金融機関およびプライベート・エクィティ(PE)は大いなる果実を手に入れる見通しです。 確かに市場の混乱は米銀に飛び火していますが、バークレイズの会長などが懸念されるように欧州の銀行の競争力を削ぐ可能性を点灯させます。欧州の銀行と言えば中国へのエクスポージャーが大きく、ドイツと英国が人民元取引のハブの座をめぐり熾烈な争いを繰り広げていたことも、記憶に新しい。ドイツ銀行と言えば、グローバル為替調査リサーチ共同ヘッドのアラン・ラスキン氏が「世界の中央銀行は人民元下支えて協調介入すべき」と主張していました(ブルームバーグの報道では”プラザ合意”という言葉を使用)。 ストリートワイズは、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートといつものように一線を画し、あくまで強気派を貫きました。個人的にも貯蓄率や家計のバランスシート、雇用の多様化、ヘルスケアやスマートフォンなど生活必需品に関する支出もあって、年内深刻な景気後退に陥るリスクは低いと考えています。 (カバー写真:Alex Proimos/Flickr)



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