Retail Sales Rebound Again, But With The Slower Pace. 米8月小売売上高は前月比0.6％増と、市場予想の1.0％増を下回った。前月の0.9％増（1.2％増から下方修正）を含め、4ヵ月連続で増加。ただし、伸びは過去4カ月間で最も小幅にとどまる。 自動車とガソリンを除いた場合は0.9％増と、市場予想の1.3％増を下回った。前月の1.3％増（1.9％増から上方修正）に続き、4ヵ月連続で増加した。国内総生産（GDP）の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高（自動車、燃料、建築材、外食などを除く）は0.1％減と、市場予想の0.5％増に反する結果に。前月の0.9％増（1.4％増から下方修正）から転じ、4ヵ月ぶりに減少に転じた。経済活動の再開が続くとはいえ、対面サービスは限定的で失業保険の拡充も期限切れを迎え、小売売上高の回復が鈍化しつつある。 チャート：小売売上高、前月比は予想以下ながら4ヵ月連続で増加 チャート：小売売上高は前年比で2.6％増となり、3ヵ月連続で増加も前月比と同じく伸びは鈍化 （作成：My Big Apple NY） 前月比の内訳をみると、主要13カテゴリー中8種で増加し、前月の9種には届かなかった。今回牽引したのは外食で3ヵ月連続で増加、服飾も改善をたどったほか、家具や建築材・庭園など住宅市場の力強さを反映した分野などが増加している。一方で、スポーツ用品・趣味・書籍は2ヵ月連続で減少、巣ごもり需要を支えにコロナ禍で大幅増となった食料・飲料も減少した。前月比の項目別詳細は以下の通り。 （プラス項目） ・外食→5.0％増、3ヵ月連続で増加＜前月は26.7％増、6ヵ月平均は0.3％減 ・服飾→5.7％増、3ヵ月連続で増加＜前月は176.7％増と過去最大の伸び、6ヵ月平均は26.8％ ・家具→横ばい＜前月は37.4％増と2ヵ月連続で増加、6ヵ月平均は7.2％増 ・建築材/園芸→2.9％減、3ヵ月ぶりに減少＜前月は0.8％増、6ヵ月平均は1.2％増 ・電気製品→22.9％増、3ヵ月連続で増加＜前月は37.6％増と過去最大の伸び、6ヵ月平均は3.8％増 ・ヘルスケア→3.6％増、3ヵ月連続で増加＜前月は6.9％増、6ヵ月平均は0.7％増 ・ガソリンスタンド→6.2％増、3ヵ月連続で増加＜前月は14.8％増と過去最大の伸び、6ヵ月平均は1.8％減 ・自動車/部品→1.2％減、3ヵ月ぶりに減少＜前月は9.1％増、6ヵ月平均は2.9％増 ・無店舗（主にネット）→0.7％増＞前月は2.1％減、6ヵ月ぶりに減少、6ヵ月平均は3.6％増 （マイナス項目） ・雑貨→6.2％増、3ヵ月連続で増加＜前月は21.7％増と過去最大の伸び、6ヵ月平均は1.2％増 ・一般小売→0.2％減、3ヵ月ぶりに減少＜前月は2.1％増、6ヵ月平均は0.4％増 （百貨店は0.1％増、3ヵ月連続で増加＜前月は17.4％増、6ヵ月平均は0.6％増） ・食品/飲料→0.2％増＞前月は1.5％減、6ヵ月平均は2.5％増 ・スポーツ用品/書籍/趣味→5.0％減、3ヵ月ぶりに減少＜前月は27.6％増、6ヵ月平均は8.2％増 チャート：8月の業種別動向 （作成：My Big Apple NY） ――米8月小売売上高は、4カ月連続で改善をたどり、前月に続き2月との比較でも増加を保ちました。ただ、市場予想以下にとどまったように、コロナ禍直前の2月比でみると7月に続き13業種のうち7種が2月の水準を上回る程度です。 チャート：2月比での13業種動向、7種が2月の売上高を超え小売売上高自体もプラスに反転 （作成：My Big Apple NY） 小売売上高の伸び鈍化の一因は、失業保険申請件数が高止まりするなかで失業保険拡充が期限切れを迎え、追加経済対策が米議会で難航している実態が挙げられます。共和党が5,000億～1兆ドル案を提示した一方で、民主党は3兆ドルと開きがあり、なかなかまとまらなかったものです。ただ、15日に漸く下院の超党派が1.5兆ドル案を提示。民主党のペロシ下院議長は妥結するまで、遅くとも米大統領選を控え10月2日前の休会入り予定を先送りべきと主張しており、漸く妥結への道が開きつつあります。コロナ禍に加えハリケーン・シーズンを控え、9月に再び鈍化してもおかしくありませんが、米8月雇用統計は順調な回復を示し、平均時給も低賃金職を中心にしっかり伸びており、回復トレンド維持に期待が掛かります。 （カバー写真：byronv2/Flickr）