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バロンズ:株主還元策、必ずしも強気派にとって”フリーランチ”とならず

Barron:s : Buybacks Don’t Always Mean Free Lunch For The Bulls. バロンズ誌は、今週のカバーに資産運用会社バンガードの創業者のジャック・ボーグル氏と、彼が広めたインデックス・ファンド運用に焦点を当てる。1974年に誕生した”バンガード500インデックス・ファンド”をはじめ同社の運用資産は創業当時の15億ドルから4.5兆ドルへ膨らみ、市場シェアは5.9から24.1%へ拡大した。ファンド数も6つから2017年には149へ増加し、資金流入は同年に3,590億ドルに及ぶ。バンガードはインデックス投資の巨人と言えるが、足元でインデックス投資は問題を抱える状況だ。例えばインデックス投資はS&P500の比重の大きな銘柄に資金が流入しやすく(例:マイクロソフトは3.2%に対しウォルマートは0.5%)、割高な銘柄をさらに上昇させてしまう。インデックスが5,000以上に増加したものの、ファンドへの資金流入は大型株指数に偏りがちだ。果たして、インデックス投資は今後どうなるのか。詳細は、本誌をご覧下さい。 当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は米国の家計債務と自社株買いを取り上げる。抄訳は、以下の通り。 米国の労働者、債務のスパイラルに陥る―U.S. Workers: Stuck on the Debt Treadmill. ローマ法王のフランシスコ1世は、2月に米株相場の急落を招いたVIX指数のショートに連動するETFに対し「他人の失敗に賭けるような商品は、倫理的に許容できない」と批判した。しかし、金融危機の折に英国国教会はデリバティブを非難したように、教会の権威が金融商品を槍玉に上げるには初めてではない。金融業界からも、例えばオマハの賢人、ウォーレン・バフェット氏が「金融の大量破壊兵器」と口撃していたものだ。 デリバティブに対し、ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授はリスクをヘッジする洗練された手法を推奨する。しかし一方のヘッジは、他方の投機だ。ローマ法王の言葉は、情報の非対称性によって敗者が痛手を負うことを意味し、それは金融危機時に住宅や自動車を保有していた者に重なる。 翻って、米株と米国債の価格は過去の法則に反してそろって下落し、米国債はもはや米株のヘッジとしての機能を失いつつある。米10年債利回りが3%に乗せた結果、米株は売りで反応した。米国債利回りの上昇は、油価の値上がりを反映している。WTI原油先物価格が72ドルを突破し2014年11月以来の高値をつけると、米国債利回りの上昇につれドルも跳ね上がった。従来ドル高は油価の下落を促したものだが、逆の展開を迎えている。経済動向に左右されやすい銅先物は下落をたどり、年初来で6%安の状況だ。 米国の家計は、恵まれた環境にあると言えよう。弱気派で知られるソシエテ・ジェネラルのアルバート・エドワーズ氏ですら、平均時給は前年比2.25%上昇しているに過ぎないが、労働市場の逼迫を受け企業は従業員の労働時間を引き上げると予想、週当たり労働時間は3%台に拡大する見通しだ。NY連銀によれば、家計債務は前年比3.8%増の13.2兆ドルだった。自動車ローンや住宅ローンの延滞率は小幅低下にとどまったが、格付け会社ムーディーズは「力強い雇用情勢を踏まえれば、延滞率は一段の低下余地がある」と分析する。米最高裁判所は14日に全米50州でのスポーツ賭博の解禁を承認する判断を下したが、家計にどのような影響を与えるのだろうか。 「Show me the money」とは、映画”エージェント”の名台詞だ。いま、投資家は企業にそう叫んでいるかのようだ。企業も税制改革法案で成立したレパトリ減税を支えに、株主に応え自社株買い規模を広げている。企業さらに、短期の米国債を売却し株主還元策に充てる状況だ。米連邦準備制度理事会(FRB)も少しずつ、そして着実に米国債を償還させてる。その半面、米財務省は財政赤字の拡大に対応し、短期債の発行増に動いている。 JPモルガンのグローバル・ストラテジー・グループによれば、現金保有高での米企業上位15社は、1~3月期末に現金と米国債合わせて600億ドル(彼らの流動資産のうち7%)を縮小させた。しかし、上位15社の一角である通信機器メーカー大手シスコ・システムズが16日に発表した2~4月期決算では、現金と証券の保有高が193億ドル落ち込み、上位15社の縮小規模を800億ドルへ拡大させたことになる。シスコ・システムズを除いた上位15社の自社株買い規模は550億ドルと、2017年の230億ドルを大きく上回った。決算資料によれば、シスコ・システムズは2~4月期に60億ドルの自社株買いを行ったという。 S&P500構成企業のうち94.2%が決算発表を終えるなか、S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのシニア・インデックス・アナリストのハワード・シルバーブラット氏は、1~3月期の自社株買い規模が1,780億ドルと四半期ベースで過去最高を記録した2007年の1,720億ドルを超えたと試算する。仮に1~3月期の自社株買い規模が1,860億ドルになれば、自社株買いと配当を通じた株主への現金のトータルリターンは1年後に史上初めて1兆ドルを突破する見通しだ。シルバーブラット氏は仮に1~3月期に達成できなくとも、4~6月期に実現すると見込む。 S&P500構成企業、自社株買いの規模。 (作成;My Big Apple NY) 反対にS&P500構成企業の設備投資は芳しくなく、1~3月期は前年比では21%増だったものの、前期比6.5%減の1,588億ドルだった。対して増配を実施した企業は185社、減配は2003年以降で初めてのゼロとなる。 S&P500構成企業のうち89.5%が決算発表時に現金関連の規模を発表したところ、過去最高だった2017年10~12月期の1.6兆ドルから1.7%減少した。逆に言えば依然として高水準にあり、企業に株主還元策の余地が残るというわけだ。株主還元策の継続は朗報だろうが、忘れてならないのが米企業の米短期債の売却だ。米2年債利回りの上昇を加速させるだけでなく、社債スプレッドの拡大も促す。その上、米2年債利回りは17日に2.56%と9月の水準から倍増するなかで、配当利回りの妙味を失わせかねない。自社株買いは強気派にとってグッドニュースだが諸刃の剣であり、フリーランチはないということだろう。 ――米家計債務については過去最高の水準にばかり気を取られがちですが、所得水準と一緒に考えねばなりません。こちらについては、次回、詳しく追っていきます。自社株買いが過去最高の水準になるとの指摘は以前から聞かれ、JPモルガンに至っては8,000億ドルと景気の良い数字を弾いておりました。その割に、米株高一辺倒の展開には程遠い。トランプ政権の通商政策や外交政策が話題になりがちですが、個人的にはやはり景気循環的なピークアウトを推したい。永遠に続くパーティーなんて、あり得ませんからね。 (カバー写真:Susan Sermoneta/Flickr)



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